社会が必要とする働く高齢者

現在、高齢者の雇用が活発に行われるようになってきている。定年後もやりがいや給金を得ることを目的に、雇用されることを希望する人が増えているのもその背景にある。各業界が高年齢層の職場への取り入れを行なっている中で、60~75歳の人材を紹介する派遣会社などが注目を集めている。このように「働く高齢者」という形は、近年割と一般的なものとなってきているのかもしれない。
年齢的な問題を考えると体を酷使したりスピードを要求される業務には向いていないが、その分人生経験を生かした「穏やかなコミュニケーションスキル」が必要とされる現場もある。その最たるものが介護職である。ある施設では比較的高齢の職員を配置したところ、そのコミュニケーションスキルが利用者の間で評価されたという事例もある。
介護業界もこういった人材の確保に乗り出して60歳での定年制度を撤廃する施設も出てきているし、さらに進んで終身雇用を導入するケースも数は少ないが存在している。もちろん、こういった人材確保の動きは業界全体が抱える慢性的な人手不足が主な原因となっていることは確かだ。それでも高齢者が元気に働ける場所を持つことは、日々必要となる金銭の確保や、やりがいを持って仕事に取り組むことで活力を維持していけること等プラスに働く面も多い。
日本における高齢化の速度は諸外国と比較しても急速なもので、今後さらに迅速な対応が求められることとなってくるだろう。その中でも可能な限り温かみを忘れない施策がなされることが大切と言えるのではないだろうか。